そもそも、なぜ夜食は太りやすいのでしょうか。実は脂肪の蓄積には、糖質を摂取したときに分泌されるインスリンが関係しています。
「食べものに含まれる炭水化物が糖に分解され、体内の血糖値が高くなると、血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されます。このインスリンが分泌されると糖が脂肪細胞に取り込まれ、脂肪として貯えられる仕組みです」
血糖値は通常、食後2時間でピークになり、その後2時間で元の状態に戻ります。つまり食後4時間はインスリン分泌も高くなっている状態。その間にエネルギー消費が行われないと、食べたものの多くが脂肪として蓄積されてしまうのです。
ごはんやパン、麺類といった炭水化物のほか、お菓子や芋類など糖質を多く含む食物は、血糖値の急上昇を招きやすい
インスリン分泌の観点から、「血糖値が上がりにくい夜食」をとることが太りにくくするポイントになります。教えていただいたおすすめの食材や食べ方は以下の通りです。
【1】タンパク質が豊富な食材を選ぶ
豆腐や卵、お刺身などタンパク質が豊富な食べ物がおすすめです。温かいと満腹感が得られやすいため、豆腐なら冷奴よりも湯豆腐を召し上がるといいでしょう。お刺身ならばカツオやマグロが夜食にはぴったり。タンパク質からエネルギーや筋肉・血液を作るために必要な栄養素、ビタミンB6も一緒に摂ることができます。
【2】葉物野菜を選ぶ
「ほうれん草やキャベツなどの葉物野菜も血糖値の上昇を抑えます。特に、栄養価も高いほうれん草は健康にもいいのでおすすめ。簡単につくれるおひたしにしたり、お味噌汁に入れたりしてみては」と、ながいさん。
反対に、糖質の多い和菓子やケーキ、スナック菓子などは夜食としてはNG! 夜食として食べるより、夕食後にデザートとして食べた方が血糖値は上昇しにくくベターです。
■夜食にもおすすめ!「消化しやすい食べ物」
「寝る2時間前までには食事を終えるように」とよく耳にしますよね。これは食後、食べ物が胃で消化されるまで2〜3時間かかるため。この間に眠りにつくと、体内の消化活動が睡眠を妨げることになるのです。
「睡眠は体の機能を休める行為ですから、その間は消化活動の働きは弱くなります。しかし胃に食べ物が残った状態で眠りにつくと、消化活動のために休ませるべき体の機能を動かすことになり、睡眠の質が悪くなるのです。消化不良も起こりやすく、翌朝の寝起きが辛いなどの悪影響が出てきます」
そんな睡眠への悪影響を抑えるコツは「消化されやすい夜食」をとること。心がけたいポイントをお教えいただきました。
【1】加熱されていない食材
加熱されている食材は、生の食材よりも消化に時間がかかります。例えば卵なら、ゆで卵よりも生卵や温泉卵などがおすすめ。生卵は納豆に加えるなどして取り入れてみましょう。
【2】食物繊維の少ない食材
食物繊維が多い食材は健康に良いという印象を抱くかもしれません。しかし、消化されにくく胃に負担がかかるので、夜食には不向きなのだそう。例えば、特に不溶性食物繊維が多く消化に時間のかかる玄米ごはん、ゴボウのきんぴらなどは避けるようにしましょう。
【3】発酵食品
納豆やヨーグルトなどの発酵食品は、体内に入る前からすでに酵素や微生物の働きにより消化の下準備が整っています。そのため、消化に費やされるエネルギーの消費が少なく、胃腸の負担が軽くなります。
ヨーグルトは無糖のものを選んで。